「ありがとな。来てくれて…。それだけで俺は幸せだよ。だから…もう戻れ…」


健はあたしの頭を昔みたいに優しく撫でた。

「健…」


「ほら。行った行った」


あたしの背中を押した。



あたしは1回だけ振り向いて、ドアに向かって歩いた。


「彩夏」

健の声に反応して振り返った。





「ありがと」


健はそれだけ言った。

あたしは止まった涙がまた溢れてだしそうだったから、急いでドアを開けて外に出た。



健…





昴…








あたし…




どうしたらいいの??