1.
 自分で言うのもおかしいかも知れないが、私は何に置いても「平均以上」であった。
 それなりに可愛くなる努力もしたし、勉強もクラスで5番目にはいつも入っていたし、休み時間に1人でトイレに行くことも無かったし。
でも、いつも楽しくなかった。
 友達なんて、寂しい者同士が集まって口約束をして一緒に居るだけ。
 同じモノを食べて、可愛いくもない女の子を褒めまくって、深くその人のことを知りもしないで悪口言ったり同情したり。
 私もなんとなくその場をやり過ごしたくて、ニコニコして、「これが社会辞令ってやつか。形だけで空っぽじゃん。」と思う気持ちに蓋していた。

「目、死んでるよ。圭ちゃん、いつも。」

それが君に言われた初めての言葉。

夕方のバス停。雨が上がった後の湿ったアスファルトの色。1人分離れた隣からする洗剤の匂い。昔に染めたのか色が抜けている赤茶色の髪。
寂しいくらい綺麗な横顔。

今でもおかしいくらい思い出せる。

今君はどこにいますか?

ちゃんとした大人になれた?

そんなことはどうでもいい。

あの時の君の人生に、私は少しでも寄り添えましたか。


届かないかも知れないけど、この小説を君に捧げます。      愛を込めて。