「本日のメニューはカレーと、もう一品別の料理を考えているわ。まずカレーについてだけど、もうベルネさんも作り方はわかりますよね?」

「あれだけ作らされて覚えないとは、あたしを舐めてるのかい小娘。だいたい小娘に出来るんだ。あたしに出来ないはずないだろう」

 つまり出来ると言いたいようだ。

「ではカレーはベルネさんにお任せして、これからどんどん仕込んでいきましょう」

「それでカルミアさん。もう一品てなんですか!?」

 ロシュが待ちきれないと、期待の眼差しを向けてくる。

「パスタよ」

「おおっ! 学食でパスタが食べられるんですか!? 僕、パスタ大好きですよ!」

「それは良かったわ」

 カレーのように目新しい品ではないが、馴染みのある食べ物も必要だと思う。そこで目を付けたのがカルミアの前世でも人気を誇っていたパスタだ。

「この世界、じゃなくてこの国。パスタは一般的な食べ物だけど、学食で安く食べられたら嬉しいじゃない? 学食の魅力って、やっぱり安くて美味しいことだと思うのよね。業者から大量に仕入れているから、その分値引きをさせて、安く提供することも可能になったわ」

「やったー! 安さ大歓迎です! カルミアさん、仕入れのことまで考えてるんですか!?」

「当然よ。これまで食材の仕入れは決まった量を一定に業者が納品していたようだけど、それでは使用量と比例しません。勝手で申し訳ないけれど、これから仕入れの管理は私がさせてもらいます」

「カルミアさん、そんなことまで出来るんですか!?」

「得意分野よ」

 これでもラクレット家の特別顧問。仕入れの仕組みが理解出来ないでは話にならないと、厳しく仕込まれている。

「最も安く美味しく仕入れるルートを確保すると校長にも報告済みよ」

「小娘の癖に、可愛げがないほど隙がないねえ」

 ベルネの小言には「制服が可愛いからいいんですー!」という自分でも訳の分からない理屈で応戦をしていた。

「ではこれより本日の営業に向けて動き出しましょう。ロシュはフロアの掃除をお願い。私とベルネさんは調理に取り掛かります。それと、私たちが連携して働くのは今日が初めてよね。一日も早くチームワークを獲得して、より良い学食を目指しましょう」

 カルミアが指揮を執れば気だるそうな返事と快活とした返事が重なった。

「なんだか燃えてきますね!」