【完】溺愛プリンスに捕まってしまいました。



「千葉さんって、綺麗な目してるよな」



「へ……?」



急に黒澤くんは顔を近づけてきて、私の目をじっと見つめる。
黒澤くんの色素の薄い瞳に吸い込まれそうだ。


や、ヤダ、こんなに顔近づけられたらヘンに意識しちゃうよ……!
って、ダメダメ。
騙されちゃダメだ。
これも黒澤くんの女の子を虜にする作戦に違いない。


首をブンブン振って、心を落ち着かせる。


慌てて彼から顔を離すと、私は少し熱くなった顔を隠すように俯いた。



「照れてるの?」


からかうように私の顔を覗き込もうとする。


「ち、ちが……っ」


「あはは、冗談だって。千葉さん、彼氏とかいないの?」


「い、いないけど……」


「そうなんだ?可愛いから絶対いると思ったんだけど」


ニコッと笑う黒澤くんにドキドキが止まらない。



……私の記憶にいる過去の黒澤くんと変わらない笑顔。
何度も見た、私が大好きだった笑顔だ。


あぁ、大好きだったのにな。
黒澤くんの笑顔も、もちろん黒澤くん本人も。