4時間目が終わり、昼休みになると私は一番に初花の席に行った。
「初花、さっきはごめんね」
「全然いいよ! 先輩が『怒らせちゃったかなあ……』って心配してたから、男の子が苦手なんですってちゃんと言っておいたよ!」
「ありがとう〜……本当にごめんね」
さすが親友!
ちゃんとわかってくれたんだ。
「気にしないで。お互いさまだしね」
じゃ、私そろそろ行くねとお弁当を持って立ち上がった初花に手を振る。
そうか、今日はデートの行き先決めるんだったよね。
楽しそうだなあ、初花。
「羽音、行こう」
「う、うん」
私は今日も黒澤くんのお供だ。
私の最高のハッピー高校生活をぶっ壊した悪魔とお弁当を食べなきゃいけないんだ。
屋上への階段を上って、錆びた扉を開く。
開けた瞬間吹いてくるこの爽やかな風だけは本当に最高だなあ。
「……あ、私お茶持ってくるの忘れちゃった」
お弁当を食べようと座った瞬間、お茶を教室に忘れてきたことに気づく。
「俺、取りに行ってこようか?」
「いやいや、さすがにそれは……自分で取ってくるよ」
そんな黒澤くんを召使いみたいな扱いするなんて、怖すぎる。
あとで『キスの一つぐらいしてくれるの?』とかまた言いそうだし。
「そっか、気をつけて行ってきて」
「うん、先に食べててね」
「はーい」
立ち上がると再び屋上の扉を開いて、屋上を後にする。



