「羽音、大丈夫……!?」
「だ、大丈夫だよ……えへへ」
心配して駆け寄ってきた初花に笑ってみせる。
あぁ、ほんと、私ってばドジなんだから……。
「先輩、なにやってるんっすか〜」
「いや、伊織にさっき言い忘れてたことをふと思い出して慌てて言いにいこうとしたらぶつかっちゃって……」
伊織くんと呼ばれていた男の子が私がぶつかった先輩に笑いながら声をかける。
この先輩、初花の好きな人の先輩だったのか……!
ということはこの人もサッカー部員ってことか……!
その先輩はいわゆるイケメンで、黒澤くんとはまたタイプの違う優しそうな人だった。
こんなにイケメンでサッカー部だったらかなりモテるんだろうなあ……。
まあ私には縁のない話だけどね。
「本当にキミ、大丈夫?」
「ほ、本当に大丈夫です! 無傷です! ……えっと、そろそろ失礼します!」
「ちょっと、羽音!」
先輩のあまりのキラキラオーラに心臓が耐えきれなくなった私は、一方的に話を終わらせてダッシュで立ち去る。
あぁ……ダメだ。
やっぱり男の子は苦手だ。
ていうか、初花のこと置いてきちゃった……あとで謝ろう。



