【完】溺愛プリンスに捕まってしまいました。




――キーンコーン。


時間は過ぎて、3時間目が終わって休み時間になった。


「羽音! ちょっとお願いがあるの!」


「どうしたの?」


初花が私の席にやってきて両手を合わせてくる。


「あのね、今からサッカー部のあの人の教室に行きたいんだけど……1人じゃ心細いから着いてきてくれない?」


「うん、いいよ」


親友のお願いなんだから聞くに決まってる!
恋する初花を応援してあげたいしね。


自分たちの教室を出て、隣のクラスへ。


初花は恥ずかしそうに教室の中を覗き込む。


隣のクラスなんてきたことないから本当に知らない子ばっかりだ。


「うーん……いないなぁ」


初花がポツリと呟いたときだった。


「初花ちゃん?」


背後から声が聞こえて振り返ると、そこには短髪の爽やかな雰囲気の男の子がいた。


この人が初花の話してた……。


「あ! 伊織(いおり)くん! ちょうど今探してたの!」


「ごめんごめん、先輩と今日の練習メニューのことで話しててさ……」


すごく良い人そう。
伊織くんっていうんだ。


the 好青年って感じ。
初花と並んでるとすごく絵になる。