学校に着いて、自分の机にカバンを置く。
「ふぅ〜〜……」
ため息つくのを我慢して息を吐く。
ふと隣の席を見ると黒澤くんがいない。
キョロキョロと教室の中を見渡すと、クラスメイトの女の子たち2人のところにいた。
え……っ?
黒澤くん自ら女の子のところに……?
「あのさ」
「く、黒澤くん……! おはよう!」
「おはよう……! 黒澤くん!」
黒澤くんに話しかけられると、女の子たちは嬉しそうにキャーキャーしている。
「掃除当番ぐらい、自分たちでしなよ」
「「えっ……?」」
彼の言葉に2人は固まる。
そうか、あの子たちって……この間私に掃除当番押しつけて帰った子たちだ……!
「羽音に押しつけないでくれる? 結局一緒に帰る俺まで手伝わないといけなくなるから」
それじゃあ、と黒澤くんは自分の席に着く。
黒澤くん……わざわざ女の子たちに注意してくれたんだ。
女の子たちから不満げなオーラが向けられているような気がするけど……あんまり見ないようにしよう。



