【完】溺愛プリンスに捕まってしまいました。



恥ずかしくて心臓が破裂しそう……。


触らなくても顔が熱くなってるのがわかる。


私の視界は黒澤くんの胸。
彼がどんな表情をしているかは見えない。


本当に黒澤くんといると調子狂う。


はあ……黒澤くんの匂いだ。
って、私ヘンタイみたいじゃん!


あぁ、はやく駅について……!


『――まもなく、○○駅に到着いたします』


車内アナウンスが流れてホッとする。


ようやくこの満員電車から解放される。


ホームに電車が止まり、ドアが開く。


「お疲れ様、羽音」


駅の改札を抜けて学校に向けて歩き出す。


「うん……黒澤くん、ありがとう」


「なにもしてないよ、自分が羽音とくっつきたかっただけだから」


あはは、と笑う黒澤くん。


その笑顔に思わずドキッとしてしまう私。


「な……っ」


「うそうそ。そんな怒らないの」


もうっ。
黒澤くんなんてやっぱり大キライだ。


私を振り回してばっかり。


好きになんて絶対にならない。