「しかも、まさかこんなイケメンだなんて……。羽音もたまにはやるじゃない」
「う、うん……」
お母さんに付き合ってる事話すなんて、黒澤くんのバカ!
お母さんには黙っていようと思ってたのに……もう。
「大丈夫、お父さんには黙っておくから、ね?」
「……」
お父さんは仕事柄、朝は早く夜帰ってくるのは遅い。
だから一緒に住んでいてもたまにしか出会わない。
今朝も朝早くから出て行ったみたいだ。
「いってらっしゃい。2人とも」
ごはんを食べ終え、身支度を済ませると靴を履く。
「いってきます」
「すみません、朝からお邪魔しました!」
爽やかな笑顔で黒澤くんがお母さんに声をかける。
「いいのよ、黒澤くん。羽音のことよろしくね」
「はい、もちろんです」
「じゃあ、気を付けてね」
お母さんに手を振って、家を出る。
はぁ………。
全く、どうしてこんなことに……。
大きいため息をつきたくなるのを必死でガマンする。



