「黒澤くんって、千葉さんと付き合ってるの~?」
ある女の子が黒澤くんにベタベタとくっつきながら質問する。
聞きたくないけど……少しなにか期待をして聞き耳をたてる。
……が、私の期待は儚く崩れ去った。
「そんなワケないじゃん。ただのクラスメイトだよ」
黒澤くんの言葉がナイフのように私の胸にグサグサと突き刺さる。
……あぁ、そうか。
私は遊ばれてたんだ。
そもそも私と黒澤くんはつり合ってないこと、わかってたのになぁ……。
私はその場にいられなくなって教室を飛び出した。
黒澤くんみたいにカッコよくてみんなの人気者が私みたいな地味な子を好きになるワケないのに。
簡単に“好き”って言葉を信じちゃってさ。
私って本当にバカだなあ……。
わかってたのに、でも、涙が止まらなかったんだ。



