1人ぼっちの教室はなんだか寂しい。
はやく帰ってお菓子を食べながらテレビ見たいよ……。
「はぁ……」
今日何回目かわからないため息をつく。
「随分と大きいため息だな」
「……っ!?」
驚きのあまりに声が出ない。
慌てて振り返ると、ドアのところに帰ったはずの黒澤くんがいた。
「なっ、なんで黒澤く……っ」
黒澤くんが近づいて来たかと思うと、逃げる間もなく両頬を片手でむにっと掴まれた。
「なにやってんの、羽音」
「ふ、ふみまへん……」
「ったく、羽音のことだから掃除当番押し付けられたんでしょ」
う……バレてる。
「このお人好し」
「いたっ」
私にデコピンすると、掃除道具入れからホウキを取り出して掃き始めた。
「え……黒澤くん……」
「ほら、さっさと終わらせて帰ろ」
「……うんっ」
彼の表情からはなにを考えているのかはわからないけど、でもずっと、私を今まで待っててくれてたってことだよね……?
どうして? ますます黒澤くんのことがわかんないよ。
でもやっぱり黒澤くんは、昔と変わらない。
優しいまんまの黒澤くんだ。



