慌ててお弁当箱を開いて黒澤くんに差し出す。
「はい、どうぞ」
「じゃあ、これもらうね」
黒澤くんが手に取ったのはお母さん特製のたまごやき。
「お母さんが作ったたまごやきなんだけど、すっごく美味しいの! 食べてみて!」
私、昔からお母さんの作るたまごやきが大好きなんだ。
いまだかつてお母さんのたまごやきを超えるたまごやきには出会っていない。
「いただきます」
黒澤くんは一口たまごやきを食べると、大きく目を見開いた。
「どう?」
「ん、すげー美味しい!」
「でしょ!私、本当にこのたまごやきが大好きで……っ!」
……って、私ってばなに興奮して黒澤くんに積極的に話しかけてるの!
ハッと我に返ってお弁当を食べ始める。
「ご、ごめんなさい……」
「えぇ? もっと熱弁してくれてよかったのに」
「いやもう大丈夫……」
「そっかぁ、見てて楽しかったのに」
……この人、絶対私のことバカにしてる。
黙々とお弁当を食べ進める私の隣でパンを頬張る黒澤くん。
チラッとそんな黒澤くんを盗み見る。
黒澤くんのサラサラの黒髪が風に吹かれて、その横顔はとってもかっこよかった。
あぁ……なんで神様は黒澤くんにこんな完璧な容姿を与えたのですか?
世の中不公平だな……。



