そうきたか……!


「男に騙されたかわいそうなヤツなんだってね」


「ちょ……っ、それは……っ!」


弱みを握るなんて卑怯にもほどがあるよ!


「さ、帰るよ」


と、抵抗する間もなく黒澤くんから手が差し出される。


「え?」


「手、貸して」


そう言って私の手を取ると、歩き出す。


いやいやいや!
手汗かきそうなんだけど……っ!
ヘンに緊張するし!


黒澤くんの手……大きい。
中学のときはこんなに大きかったっけ?
背だって私とは変わらないぐらいの小柄だったもんな。


改めて黒澤くんの成長っぷりに驚かされる。


あ~~……恥ずかしい。
男の子とこうやって手を繋いで歩くなんて、初めてだもん。


なんで初めて手を繋いで歩く相手が、大キライな黒澤くんなんだろう。
私のバカ。大バカ。


歩いていると色んな人にジロジロ見られる。
きっと、私みたいな地味な子とカッコいい黒澤くんが手を繋いで歩いてるからだろう。


恥ずかしくなってきて、手を離そうと軽く握っていた黒澤くんの手を離す。
だけど、黒澤くんはそれを許さずまた手を握る。


「なんで離そうとするの」


「だ、だって」


「だーめ」


なにも言えない自分がイヤになる。