【完】溺愛プリンスに捕まってしまいました。



「そんなに俺が信用できない?」


「できないに決まってるよ! 黒澤くんのせいで私はあれから……好きな人どころか、男の子と関わるのもニガテになって……」


あんなことがなかったら私は今頃、好きな人……運命の王子様と結ばれてたかもしれないのに。


「いいよ、それで」


「……え?」


「これから一生、羽音が好きになるのは俺だけでいい」


「な、なに言って……っ」


黒澤くんの言っている意味がわからない。
私のこと好きでもなんでもないクセに、どうしてそうやって簡単に私を惑わせるようなことを言うの?

また私を騙そうとしてるの?


「そうやって惑わせて……また私を騙そうだなんてムリだからね!」


「別に、騙すつもりはない。本当のこと言ってるだけだし」


「……っ」


なにが本当で、なにがウソなのかもうわかんなくなってきた……。
黒澤くんの目的は一体なに?


頭の中ごちゃごちゃだよ……。


「とにかく、羽音は俺の彼女。わかった?」


「っ」


私は勇気を振り絞ってその場から逃げようと走り出した。



……が、足の遅い私が逃げ切れるワケもなく。


あっさり黒澤くんに腕を掴まれてしまった。


「なに、逃げんの?」


「だって……おかしくない? 普通、好きな人と付き合うものじゃないの? 私には運命の王子様がどこかに……っ」


そこまでして黒澤くんが私にこだわる意味ってなに……?