【完】溺愛プリンスに捕まってしまいました。



なにも言えず黙り込んでいると、フッと笑う黒澤くん。


「ま、これからはその大好きな俺のそばにいられるんだし、よかったね」


「なにもよくないよ! 私が黒澤くんを好きだったのは過去の話で……っ」


「じゃあ俺と別れたいの?」


悪魔な笑みに思わず後ずさるけど、その度に黒澤くんは私に近づいてくる。


「……っも、もちろん」


「なんで?」


「な、なんでって……わ、私だって高校生活、すごく優しくて、私を大事にしてくれる彼氏を作って満喫したいもん!」


仕返しができないとわかった今、黒澤くんと付き合うメリットは全くない。


「だったら、別れる必要ない」


「え?」


「他の男よりも俺の方が羽音を大事にできる自信があるから」


「は……っ、な、なにそれ、イヤだよっ」


そんなめちゃくちゃな……っ!
中学生のときあれだけ私のことを傷つけておいて……言ってることがめちゃくちゃだよ!