「俺の告白にOKしたのは羽音だよ? 別れるなんてもうムリだから」
「そんな……」
もう終わりだ。
さよなら私の人生。
仕返しなんてバカなことしないで、黙って黒澤くんを避けてればよかった。
「羽音のことだから、自分に気づいてない俺に、中学のとき俺にやられたように裏切ってやろうとか考えてたんじゃない?」
―――ギクッ。
まさかそこまで気付かれてたなんて。
もしかして、最初から私に気づいてない“フリ”をしてたってこと?
騙されてたのは私の方だったってこと?
入学式で言った言葉も、桜の木の下で言った言葉も、全部、意図的だったってこと?
私以上に黒澤くんはウソつきだったんだ。
黒澤くんのウソにまんまと引っかかった私は本当にバカだ。
「気づいてないフリしたら羽音がどうするか見てたら、まさかアピールしてくるなんて。ほんと考えが単純すぎ」
「だ、だって……っ、本当に悔しかったんだもん。私だけが本気だったんだって……黒澤くんにはわかんないだろうけど、悲しかったんだよ?」
少し泣きそうになりながら、必死に訴える。
「……へぇ、そんなに俺のことが好きだったんだ?」
あぁ、ムカつく。
そんな余裕そうな顔でそんなこと言うなんて。
でも否定できない自分がいる。



