それから午後の授業を全て終え、放課後になった。
「初花、私今日から……」
「黒澤と帰るんでしょ?今日からは私、1人で帰るから2人の時間を大切にしな?」
初花に今日から黒澤くんと一緒に帰るんだってことを伝えようとしたら、初花が先に私の思っていることを言った。
「初花……」
気を使ってくれる初花に罪悪感が生まれる。
初花にだったら……言ってもいいかな。
言ってしまったら、嫌われちゃうかもしれない。
でも、信用してる友達には自分のことは隠したくない。
だから……。
「でも、たまには私の相手もしてよねっ!」
「初花、あのね……っ!」
「千葉さん、帰ろ?」
初花に本当のことを話そうとしたら黒澤くんに遮られた。
ダメだ、黒澤くんがいたら言えない。
また今度にしよう。
「羽音、なんか言った?」
「あ、いや……なんでもない! じゃあね、初花」
「ばいばい」
笑顔で初花に手を振って黒澤くんと一緒に校舎を出る。
「校門で待ってて。自転車取ってくる」
「あぁ、うんっ」
校門を少し出たところで立ち止まって、桜の木を見つめる。
もう、桜も散っていっちゃうのかぁ。
あっという間だな、ほんとに。
ふと、頭に中1のときのことがフラッシュバックする。



