あぁ、私、黒澤くんの笑顔に弱い。
どうしても昔の黒澤くんを思い出してしまう。
あんな出来事、思い出したくもないのに。
大好きだった笑顔を見ると、胸が少し苦しくなるんだ。
「び、ビックリするじゃん」
「だって、千葉さんが目そらそうとするから」
「そ、それはっ」
まさか、黒澤くんと目が合うとは思わなかったんだもん。
「あのさ、もしよかったら今日から一緒に帰らない?」
「え?」
「その、彼氏として今日から千葉さんを送り迎えさせて」
「えっ!? いやいや、そんな!」
送り迎えって!
それって家を教えるってことでしょ?
ってことは転校する前のことを思い出すに決まってる。
なんとか理由をつけて送り迎えさせないようにしないと!



