「羽音、どうだった~?」
先にお弁当を食べて待っていた初花がたまご焼きを頬張りながら聞いてくる。
「黒澤くんと付き合うことになったよ」
「……え!?マジ!?」
箸を止めて大きく目を見開く。
「……うん、マジ」
「すごいじゃん、羽音! まぁ羽音は可愛いし、さすがの黒澤も惚れちゃったんだねぇ」
「いやいや、そんな」
でも、本当になんで黒澤くんは私を選んだんだろう。
一目ぼれって言ってたけど、私そんなに見た目に自信ないし、入学式の日はあんまりちゃんと話せなかったし……。
「おめでとう、羽音」
「ありがとう」
「っていうか、羽音って黒澤のことが好きだったんだね」
「ま、まぁ……最初話したときから少し気になってて……」
なんて、テキトーな理由をつける。
初花のことは友達だって思ってるけど、仕返しのためだなんてさすがに言えない。
言ったら絶対に白い目で見られる。
華の高校生活早々、友達を失いたくないもん!



