こんなことになったのは遡ること1時間前。
いつも通り、俺は羽音と教室を出た。



「ねぇ、黒澤くん」



「ん?」



「もうすぐ、テスト期間だね」



言われてみれば、テスト期間初日まであと一週間……。
勉強がキライな俺にとっては思い出したくなかった現実。



「あー……そうだね」



「明日から毎日放課後、私の家で一緒に勉強しない?」



「えっ」



羽音の言葉に俺は固まった。



勉強はキライ。
だけど、羽音と一緒にいる時間が増える。
でも、勉強はキライ……いやでも一緒にいる時間が……と、頭の中が永遠ループする。



「イヤ、だったらいいよ?」



「イヤなワケない! 一緒にするに決まってる!」



反射的にそう答えてしまったことに、少しだけ後悔した。



「よかった。じゃあ決まりだね」



……と、こんな感じで勉強会をすることになったんだけども。