――ガチャ。
「お邪魔します……」
「いいよ、ほんと誰もいないから気使わなくて」
「う、うん」
雨にギリギリ降られることがないまま、家に着き自分の部屋に案内する。
「ここ、俺の部屋だから……ちょっと待ってて。テキトーに座ってていいよ」
「うん」
俺はリビングに入ると、ジュースをコップに注いでまた部屋に戻る。
「おまたせ」
羽音は床にちょこんと座っていた。
「ありがとう」
嬉しそうにコップを受け取ると、一口飲んだ。
俺は羽音と机を挟んで向かい合うようにベッドの上に腰をかける。
「すごく、綺麗にしてるんだね」
キョロキョロと部屋を見渡して言った。
あんまり部屋に物を置くのは好きじゃない。
だから必要最小限のものしか置いてないからかな?
「まあね」
「男の子の部屋って初めて入った……」
「ほんとに?」
俺の問いかけにコクンと頷く。
嬉しい。
俺の部屋が羽音にとって初めての男の部屋だなんて……。
羽音の初めては全部全部……俺がほしい。



