お弁当を食べ終わり、屋上のフェンスに指をかけて学校のグラウンドを見下ろす。


グラウンドでは何人かの男子生徒たちが走り回って遊んでいた。


「……羽音、なに見てるの?」


「いや……楽しそうだなーって」


「ダメだよ、他の男に目移りしちゃ」


そう言って後ろから私をぎゅっと抱きしめた。


「黒澤くん、嫉妬してるの?」


「そんなの、当たり前。だから常に羽音に似合う男にならなくちゃって思ってる」


「私だって……黒澤くんに似合う女の子になるために、もっと可愛くなりたい」


胸を張って黒澤くんの隣を歩けるように……。


「明日からダイエットでもしようかな」


最近、なんかこう……全体的に肉付きがよくなってきた気がする。
中学のときに比べると体重もちょっと増えちゃったし……身長は一切伸びてないのに。


「だーめ、これ以上痩せたら」


「えー、何でよ〜……」


「俺はちょっとぷにぷにしてるほうが、好き」


そう言いながら、私の脇腹をぷにぷにとつまむ。


「……っちょ、黒澤くんやめてよ……!」


恥ずかしくて黒澤くんを引き剥がそうとするけど、男の子の力に敵うはずもなく。