うーん、なにか話題を……。
「千葉さんってさ」
「は、はいぃ……っ!」
ビックリしすぎて、声裏返っちゃった……。
はぁ、私ってばなにしてんだろう。
「千葉さんって、一目ぼれってアリだと思う?」
「へ……? ひとめ、ぼれ?」
なんで急にそんなこと……?
「……やっぱなんでもない。今の忘れて」
首を傾げて頭の上にハテナを並べていると、黒澤くんは少し頬を赤く染めて目を逸らした。
そんな姿に少しドキッとする。
なんだったんだろう、今の……。
もしかして、誰かに一目ぼれしたとか!?
ウソ!?
誰かに先越された!?
いやいや、まだ諦めちゃダメだ。
私と過ごす方が楽しいんだよってアピールしなきゃ。
「黒澤くんって彼女いるの?」
「いや、いない」
「……どんな女の子がタイプなの?」
「明るくて笑顔が可愛い子かな」
なるほど……笑顔が可愛い、か。
私の笑顔が可愛いかどうかは別として、笑顔でいなきゃ。
それから学校に着くまで私は黒澤くんにニコニコ笑顔を振りまいた。
これできっと黒澤くんに好印象なはず……!
黒澤くんの話を聞いてるときはちゃんと相槌もうったし。
私に出来る範囲のことはやっていこう。
好きになってもらうまでの道のりはまだまだ遠いかもしれない。
でも、これを毎日続けていればきっと黒澤くんも……!
少しずつ、少しずつ、黒澤くんに意識させよう。
少しずつ……。



