「えっと……私、1時間目終わったら教室に戻ります」
「そう。わかった。もうすぐ終わるかしら?」
――キーンコーン。
ちょうど、チャイムが鳴り1時間目がおわる。
さて、教室に帰ろう。
初花にも色々と話さないといけないし。
と、掛け布団をはがしたときだった。
「あれ……膝の怪我……」
今朝の怪我にガーゼがしてあった。
「そうそう、黒澤くんが怪我してる! って寝ている間に消毒とガーゼしてくれたのよ」
そうだったんだ……なんか、ほんと色々迷惑かけちゃったな……。
「黒澤くん、ありがとう」
「いいよ。それぐらい」
こんなに優しい人が、私の彼氏になったんだ……。
そう思うと、思わず笑みがこぼれる。
「じゃあ羽音、教室戻ろっか」
「うんっ……」
私は先生にお礼を言うと、保健室を後にした。
保健室を出てすぐ、黒澤くんが私の手を握る。
「黒澤くん……」
「いいでしょ、恋人同士なんだから」
「うん……っ」
今、私は世界で一番幸せかもしれない。
そう思ってしまうほどに幸せだ。
黒澤くんのこの大きな手を……二度と離したくない。
私はぎゅっと彼の手を握り返した。