【完】溺愛プリンスに捕まってしまいました。



「……っごめ、俺ってばつい夢中になって……」


ハッと我にかえったように、唇を離す。


「ううん……すごく嬉しいっ……」


好きな人とのキスがこんなにも幸せだなんて、初めて知った。
キスは甘いって聞いたことあるけど……少しだけ、本当に甘く感じた。


「……ったく。そうやって俺を煽るの禁止ね」


煽る? って何のことだろう?
と、疑問に思っていると黒澤くんはため息をついた。


「今までガマンしてきた分、俺はもうガマンできなくなってるから……だから、あんまり可愛いコト言われると襲うよ?」


「お、襲う……?!」


意味を理解して顔がボッと熱くなる。


「羽音が俺のこと好きじゃないのにキスしたりするのはな……って、思ってずっとガマンしてた。けど、これからは容赦しないからね?」


黒澤くん……ずっと、ガマンしてくれてたの?
私のために……?


「ガマン、させてたんだね……ごめんね」


「俺は羽音が一番大事だから」


「黒澤くん……っ……」


私は黒澤くんと別れていた、ツラい日々とうってかわって、今幸せになれたことに嬉しくなって思わず涙があふれた。


そして、起き上がって座ったまま黒澤くんに抱きつく。