「それは、穂乃のウソだね」
「えっ……? ウソ?」
「……そう。穂乃は俺のことをずっと想ってくれてたみたいで……羽音と俺を別れさせようとしたってこと」
それって……初花が言ってたことは正解だったってこと?
黒澤くんのことが好きだから、私が邪魔で……それで別れさせようとしたんじゃないかって言ってたよね?
「穂乃の気持ちに気づかなかった俺も悪いけど……羽音も、すぐ人のこと信じるんだから。このお人好し」
そう言って私にデコピンを喰らわす。
「いたた……っあ! でも私、先週の金曜日……黒澤くんと浪平さんが一緒に仲良く帰ってるの見たよ?」
私は間違いなくこの目で……見たんだ。
公園の前を通る2人を。
「あぁ……あれは勝手に穂乃が迎えにきたから一応穂乃も女の子だし、家の近くまで送ってあげただけ」
「でも! 私見たの。黒澤くんが浪平さんに好きって言ってるの……どうしようもないぐらい好きって……」
少し、うーんと考えた黒澤くんはひらめいたような表情になる。
「それは……穂乃のことじゃなくて、羽音のこと言ってたの。穂乃がほんとに羽音のこと好きなのかってしつこいから……」
え? じゃあ私の勘違いってこと……?
「日曜日のデートは……っ?」
「そんなの、羽音がいるのにするはずないでしょ。羽音が行ってほしくないって言ってくれるかなぁ〜……と思って、考えとくって言っただけ」
全部全部、悩んでたことは解決したってこと?



