【完】溺愛プリンスに捕まってしまいました。



「ん……っんん……」


あれ……私、何してたんだっけ。
確か怪我したから保健室に行こうとして……。


目を開けると、天井が視界に入る。


「まぶし……」


ここは………保健室の、ベッド?


「羽音! 目覚めたか!?」


「え……?」


聞き覚えのある声が聞こえてベッドの横を見ると、そこには黒澤くんの姿があった。


「黒澤くん……?」


「あー……マジで心配した、バカ」


ホッとしたような表情を浮かべる黒澤くん。


「え? 夢……?」


状況が全く理解できない。
ここは夢の中?
黒澤くんがいるなんて夢の中以外考えられない。


「夢? 羽音……寝ぼけてるの?」


いやいや、意識はハッキリしてる。
でも目の前に黒澤くんがいることが信じられない。


「何で黒澤くんがいるの……?」


首を傾げると、優しく私の手を握る。
その温もりが現実なんだと教えてくれた。


「羽音が倒れたからここまで俺が運んできたの。先生がゆっくり休んでていいって言ってたよ。さっき、会議があるからって出ていったけど」


私、倒れたんだ……。
最近あんまり眠れてなかったからかな?