「……っもう! 昴のバカぁ……っ」
「……ごめん」
「謝らなくていいから……っそんなのいいから……、好きになってよぉ……っ」
「ごめんな、穂乃」
失恋がどれほどツライか、今の俺なら痛いほどわかる。
けど、自分にウソはつけない。
俺は羽音が好きなんだ。
「昴なんか……昴、なんか……っ、もう知らない!」
穂乃は一発俺の胸を強くグーで叩くと、そのまま家の方へ立ち去っていった。
その場にポツンと取り残された俺はこみあげてきたものを必死にこらえて、また同じ道を引き返した。
羽音……羽音は今、何を考えてるのかな。
俺がいなくなって少しは寂しいとか思ってくれてるかな。
それとも、俺から解放されてのびのびしてる?
……ていうか、穂乃は何で今日俺と帰ろうって言ってきたんだ?
普通、羽音がいるのに迎えにくるなんてそんなこと……さすがにしないよな?
まさか……穂乃が何か仕組んで別れさせて、別れたのをわかって……来たのか?
いや、まさかな……そんなことするはずないか。