俺は……穂乃は同い年だけどずっと妹みたいなものだと思っていた。
いつも俺に甘えてきて、穂乃のピンチは俺が助けてあげて。
でも……穂乃は違ったんだ。
俺の胸に抱きついてポロポロと涙をこぼす穂乃。
「千葉さんじゃなくて……私にしてよ……っ」
「……っ」
「私の方が……っす、ばるのこと、何でも知ってるよ? 好きな食べ物とか嫌いな食べ物とか……っ」
ずっと昔から一緒だった穂乃は俺のことを何でも知ってるっていうのは事実だ。
けど…………。
「俺は……羽音しか考えられない。ごめん、穂乃……」
自分の胸から穂乃を引き離す。
「何で……っ、何でよ……! 昴に好きになってもらうために私……可愛くなろうって、いっぱい努力してきたのに……!」
「……ごめんな」
力なく俺の胸を叩く穂乃に、謝るしかなかった。
俺は………誰になんと言われようと羽音が好きだ。
この気持ちは誰にも変えることができない。



