【完】溺愛プリンスに捕まってしまいました。



【昴サイド】


『私……もう、黒澤くんのこと……き、キライになったから……』


『黒澤くんの隣にいるのがツラいの……っ』


羽音の言葉が何度も頭をこだまする。


羽音に別れてほしいと言われたその次の日、俺は授業に出る気になんてなれなくて一日中屋上にいた。


通学電車だって、羽音に会わないようにいつも2人で乗ってる電車よりも1本早いのにしたのに、羽音も同じこと考えてたようで……。
俺の顔見て次の駅で車両を乗り換えていった。


少しは羽音に好かれてるかも、なんて思ってた自分がバカみたいだ。
勘違いも(はなは)だしいよな……ったく。


下校の時間になり、重いお尻をあげて学校を出る。


すると校門の前から俺のほうに向かって手に振る人物。


「あ! こっちこっち!」


「穂乃……」


なぜか穂乃がいた。