【完】溺愛プリンスに捕まってしまいました。



彼は不思議そうに私を見つめる。


慌てて涙を制服の袖で拭った。


「あ……ぼく、怪我は大丈夫だった?」


「うん! おねえちゃんのおかげでもうカサブタになって治ってきた!」


と、嬉しそうに膝の傷を見せてくれる。


「そっか。よかった」


純粋な笑顔に思わず笑みがこぼれる。


「おねえちゃんこそ……だいじょうぶ?」


「え……っ」


「どこか痛いの?」


な、泣いてたの気付かれてた……。
って、これだけ目が腫れてたらさすがにバレるか。


「ううん、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう」


私の目をじっと見つめて、小さな手を私の膝に当てたかと思うと、


「痛いの痛いのとんでけー!」


男の子はそう言った。