「黒澤くん……」
「え? 誰、あの女の子。他校?」
浪平さんは校門から出てきた黒澤くんに嬉しそうに腕を絡ませる。
2人はたくさん人がいるおかげでこちらには気づいていない。
「ちょっと、羽音!?」
私は見ていられなくて、初花を置いて走り出した。
「はぁ……っはぁ……っ」
けど、私の運動神経は壊滅的で3分ほどで立ち止まった。
さっきの光景がフラッシュバックする。
やだ……やだやだ。
たとえ幼なじみだとしても……黒澤くんと女の子が親しくしてるのは見たくない。
あぁ……やっぱり2人はお似合いだな。
私が隣にいるよりも全然浪平さんがいる方が絵になる。



