「ふぅ……」
教室のドアの前で深呼吸をする。
黒澤くんと隣の席……気まずい、けど仕方ない。
「羽音、心の準備できた?」
「……うんっ」
ドアを開けて自分の席へ。
けど、私の席の隣には……。
……黒澤くんの姿はなかった。
黒澤くん……今朝、電車にはいたのに。
どうしたんだろう……。
って、私にはもう関係ないこと。
黒澤くんのことを考えるのはもうやめよう。
気持ちを切り替えて、自分の席に着いて教科書を机の中にしまう。
――キーンコーン。
結局、黒澤くんは本鈴が鳴っても教室に来ることはなかった。
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