【完】溺愛プリンスに捕まってしまいました。




「初花ぁ……っ……」


初花の優しさに急に涙がこみ上げてきて、初花に抱きつく。


「羽音……ガマンしなくていいんだよ」


ポンポン、と私の背中を優しく叩く。


あぁ……ダメだ。
涙が全然止まらないよ……。


「うぅ……っう……っ」


もう、黒澤くんが私に優しく声をかけてくれることはない。


黒澤くんの本命が私になることもない。


黒澤くんと私はただの……クラスメイト。


クラスメイトでしかないんだ。


たとえウソだったとしても、私は黒澤くんと一緒にいられて幸せだった。


黒澤くんとならずっと幸せでいられるかなって、少し……ほんの少しだけ、期待していた。


悔しくて……仕方がない。


「黒澤くんのこと、キライになったから」なんて、大キライって言えなかった私。


心底黒澤くんのこと大キライになんて結局今も昔もなれなかった。


私をこんなに好きにさせておいて、それがウソだなんてそんなのヒドすぎるよ。


黒澤くんの、バカ。