――キーンコーン。


「はい、じゃあ10分間の休憩に入ります。次の時間は提出してもらう書類の説明をします」


担任が教室を出ていった瞬間、力が抜けたように机に伏せる。


やっぱり、見間違いなんかじゃない。
どう見ても、何回見ても、彼で間違いない。


誰か、ウソだと言ってほしい。


私のキラキラ高校生活が……青春が……全部台無しになる。
お願い、私に気づきませんように……!


「なぁ」


……そんな私の願いはあっけなく打ち砕かれ、隣の席の彼が話しかけてきた。
あぁ、もう終わりだ。
どうしようもない。
バレてしまうのも時間の問題だったもん……。


「は、はい……」


伏せていた顔をあげ、少し動揺しながら返事をすると、彼は微笑んだ。
見覚えのありすぎるその笑顔に胸がえぐられるような気分になる。
あぁ、やっぱり間違いなく彼だ。


「名前、なんていうの?」


「……え?」


もしかして、私に気づいてない?
じゃないと名前なんて聞いてこない、よね?