【完】溺愛プリンスに捕まってしまいました。



学校の最寄り駅に着くと、逃げるように早歩きで学校へ向かった。


「っはぁ……」


これからこんな毎日を送らなきゃいけないのか……。


しんどいなあ……。


また泣きそうになったのを必死に堪える。


だめだめ、こんなところでいきなり泣き出したらただの変な人だよ!


「あれ、はのーん!」


名前を呼ばれて振り返ると同時に、背後から抱きつかれた。


「あ、初花……おはよう」


「おはよー! 今日いつもより早くない? 昨日体調大丈夫だったの?」


心配そうに私の顔を覗き込む。


「あー……うん」


「ていうか、黒澤は?」


「黒澤くんは……別れちゃったの」


「……っえぇ!? ほんとに!?」


初花の大きな目が更に大きく見開かれる。


コクンと頷くと、初花はそっかぁ……と肩を落とした。


「2人、すごくお似合いだったのになあ」


「そんなことないよ。私なんて全然黒澤くんとは釣り合ってないし……」


やだ、自分で言ってて泣きそうだ。


「……羽音、学校着いたら詳しく聞かせて? ね?」


「っうん……」


「よし、とりあえず学校にいこう!」


「ちょ、初花!」


初花は私の手を握って、走り出した。