「おはよー」
「おはよう、羽音」
お母さんが食卓にお箸を並べている。
「ほら、はやく食べないと遅刻するわよ?」
「う、うん」
私がここ2日ほど、部屋に引きこもってた理由が黒澤くんが関係してるってわかってくれたのか、彼が来ていないことに関して何も聞いてこなかった。
「いってきまーす」
「いってらっしゃい。気をつけてね」
「はーい」
家を出発し、駅へ向かう。
駅までって……こんなに長かったっけ。
いつもは黒澤くんと話しながら歩いている道。
黒澤くんがいないだけなのに、ものすごく長く感じた。
『――まもなく2番ホームに列車到着します』
改札を抜けて電車に乗り込む。
――ガタンゴトン。
「はぁ……」
ふと、目の前を見ると黒澤くんがドアの近くに立っていて視線がバッチリ合ってしまう。
やばい……気まずいっ……。
黒澤くんに合わないようにいつもの電車より1本早いのにしたのに……っ。
『――まもなく、○○駅○○駅です』
次の駅に着いて、私はその車両を降り隣の車両へ移動した。
あからさま……すぎたかな。
けど、黒澤くんだって私の顔なんて見たくもないはず。



