【完】溺愛プリンスに捕まってしまいました。




「ただいま……」


力なく言うと、そのまま自分の部屋の方へ向かう。


「羽音、晩ごはんはどうするのー?」


階段を上っていると、リビングから出てきたお母さんが声をかけてくる。


「あー……今日はいいや。ごめんね、食欲なくて」


「あーそう……」


ごめんね、お母さん。
今日は大好きなお母さんの料理、何だか食べられる気がしないんだ。


食べたとしても、お母さんに心配かけてしまいそうな……そんなヒドイ顔をしている気がする。


だから、今日だけはごめんね。


自分の部屋に入ると、私はベッドにダイブして枕に顔をうずめる。


はぁ……何だかものすごく疲れた。


――ブーブー。


ポケットの中でスマホが震える。


画面を確認すると黒澤くんからの着信だった。