「えぇ! アイツが?」
「え?」
初花は目を大きく見開いて驚いた様子だった。
「アイツ、中1のときに転校してきたんだけど女ギライでさ。モテるくせに女子には無愛想で冷たいんだよ」
「う、そ」
黒澤くんが?
さっき話したときは、私の知ってる中学時代の黒澤くんとほとんど変わってなかったのに。
「もしかして、羽音に興味あるんじゃない!? やるじゃーんっ!」
ニヤニヤしながら、私を肘で突く。
「そ、そんなワケないよ! アレじゃない? 高校からは女の子と話すようにしようって決めたとか……」
きっと高校デビューしようって思っただけだ。
中学の転校してからは一旦女遊びはお休みで、また高校から女の子を弄ぼうと考えているのかな?
「羽音、狙われてんじゃない? この際、付き合っちゃえばいいのに」
「うーん、まだ黒澤くんのことよく知らないし……」
なんて言って、ごまかす。
私、ウソつくのそんなに上手じゃないから、そのうちボロが出ちゃいそうだ。
もし、また黒澤くんのターゲットに選ばれたんだとしたら、私って運悪すぎる。
仕返しするには好都合だけどね。
でもまさか、そんなはずないよ。
私なんて他の女の子に比べたら地味だし……。