ドキドキしてたのは私だけじゃなかったんだ。
「いつも余裕そうに見えてるかもしれないけど……でも正直、全く余裕なんてない」
「え?」
「いつも、理性を保つのに必死なの。カッコ悪いでしょ」
理性……? を保つってどういうことだろう。
「あー……その顔は何言ってるかわかんないって顔だね」
――ギクッ。
なんでバレてるの。
「いいよ、わかんなくて。ほんと、俺ってダサいから」
「うん……?」
とりあえず、黒澤くんも私と同じなんだってことがわかった。
見た目も中身も完璧でいつも余裕……って思ってたけど、そんな黒澤くんもドキドキすることあるんだね。
「さ、そろそろお弁当食べますか」
地べたに座ってお弁当を開く黒澤くん。
「そうだね」
向かい合って座ってお弁当を開く。
今日のたまご焼きは何だかいつもより、少し甘い気がした。



