「ほんと、バカ」
「そ、俺はバカだよ。羽音が好きすぎるバカ」
「っ」
私は到底、黒澤くんには敵わない。
「そ、そんなに私のこと褒めてどうしたいの……」
恥ずかしげもなく、可愛いとか好きだとか言えることが考えられない。
「えー? どうしたいかなぁ……うーん、羽音を真っ赤にさせてその照れた顔をじーっと観察したい」
「……ヘンタイ」
熱くなった顔を見られたくなくて、俯いて制服のジャケットの裾をギュッと握る。
「だって、羽音のリンゴみたいに真っ赤になってる顔、めちゃくちゃ可愛いんだもん」
そして私の顎を再び持ち上げると、ゆっくりゆっくり……顔を近づけてくる。
「ひゃ……っ、な、なにっ」
あまりに近すぎて黒澤くんの息づかいが聞こえてくる。
もしかして……き、キスされる……っ?
唇の距離があと数センチというところで私はギュッと目を閉じた。



