「な、何でしょうか……」
おそるおそる振り返ると、男の先輩たち数人が楽しそうに声をあげている。
「わ、可愛いね! 俺らと今度遊びに――」
「すみません、先輩」
先輩の声を遮ったのは私じゃない。
先輩の背後に現れたのは――
「その子、俺のなんで」
――黒澤くんだ。
「行こ」
私の腕を掴むと、サッサとその場を立ち去る。
――ギギーッ。
屋上に入ると、腕を離した。
「黒澤く……」
「もう、何してんの」
いつもとは違う、少し低い声の黒澤くんにビクッとしてしまう。
「ご、ごめんなさ……っ」
「怒ってるワケじゃないよ。ただ、羽音は隙がありすぎて心配なの」
私の頭をポンポンと優しく撫でる。
「可愛い、なんて他の男には知られたくないのに……」
「可愛く……ないよ」
黒澤くんはいつも可愛いって言ってくれるけど……。
私は黒澤くんに釣り合うほど可愛くない。
それがなぜか驚くほどに悔しい。



