【完】溺愛プリンスに捕まってしまいました。




屋上への階段を上っていると。


「あ、俺、自販機でカフェオレ買ってくる! 先食べてて!」


思い出したように声をあげた。


「うん、わかった」


私にお弁当を渡すと、階段を駆け下りていった。


飲み物忘れたのかな?
まあいいや、先行って食べとこう。


あー、お腹空いた。


そして一人で階段を上る。
すると私と同じ青色の上靴を履いた、同級生であろう女の子3人が階段で話していた。


何も考えず、女の子たちの横を通り過ぎる。


「なんだ、よく見たら大して可愛くないじゃん。黒澤くんの株が下がるんだけど〜」


「ブスのくせにイケメンと付き合えたからって調子乗ってるんじゃないの」


「ほんと、目障り」


そんな会話が耳に入ってくる。
いや、おそらくわざと聞こえるように言ってるんだ。


聞こえないフリをして、唇を噛みしめながら階段を上っていく。


あぁ、わかってたことなのにな。
自分が黒澤くんと釣り合わないこと。
ずっと前から、わかってたはずなのに。