【完】溺愛プリンスに捕まってしまいました。




「……ったく、朝から元気だね」


呆れた様子でため息をつく。


「……黒澤くん、クレープ食べに行くの?」


気がつくと、私の口からそんな言葉がこぼれていた。


そんなこと、どうでもいいはずなのに。


私のその言葉を聞いた瞬間、黒澤くんは嬉しそうにニヤニヤしはじめる。


「なに、行ってほしくないの?」


「えっ」


行ってほしくない……か。
そんなの、好きでもない黒澤くんが休みの日に誰と会おうが自由だもんね。


「べ、別に……」


「もしかして、ヤキモチ?」


私の目線に合わせてかがんで、満面の笑みを向けてくる。


「っち、違うってば!」


……これは、ヤキモチなんかじゃない。
ヤキモチなんてやく理由がない。


「なーんだ、行ってほしくないって言えば今からでも断りのメッセージ送るのに」


残念そうに口をとがらせる。