……まただ。
何だかモヤモヤする。
「昴、今度の日曜日、どこか遊びに行こ!」
「どこかってどこ?」
「あ! そういえば駅前に新しいクレープ屋さんができたみたいなんだけど、それ食べに行きたいなぁ〜」
そうおねだりしながら黒澤くんの腕に腕を絡める。
それって……デートの誘いだよね?
幼なじみでも、異性だしデートだよね……?
黒澤くん、行くのかな?
いやいや、黒澤くんが浪平さんとデートしようがしまいが私には関係ない。
一応、彼女っていう立場だけど黒澤くんのこと別に好きじゃないしそんなの制限する権利ないし。
「クレープかー。考えておくよ」
一人で葛藤していると、黒澤くんがそう答えた。
なぜかその答えに少しモヤモヤしている自分がいる。
もう私はこの2人の世界には入れない、いや、入ってはいけない気がして2人のいる方と逆に3歩ほど距離を置いた。
「そっかぁ〜じゃあどうするかまたメッセージしてね?」
「はいはい、わかった」
何だか浪平さんに鋭い視線を向けられているような気がする。
気のせい、だよね?
「……あ! そろそろ急がないと! じゃあまたねー! 昴、千葉さん!」
腕時計を確認すると、慌てた様子で走って立ち去っていった。



