浪平さんと私はあまりにタイプが違いすぎて、話したのは今日が初めてに近い。
話したって言っても、一言や二言だけど……。
私が黒澤くんだったら、絶対浪平さん選ぶけどなあ……。
可愛いし、容姿端麗な黒澤くんと並ぶと絵になるし、明るいし……。
あぁ、なんでだろう。
なんだかすごくモヤモヤしてきた。
「……のん! はーのーん!」
「……えっ!?」
ようやく自分が黒澤くんに何度も声をかけられていたことに気づいた。
「もー、なにボーッとしてんの?」
「ご、ごめん……」
「謝らなくてもいいけど、何か考え事?」
「ううん、何もない」
私ってば、何をモヤモヤしてるんだろ。
浪平さんと黒澤くんのこと考えたらモヤモヤしてきて……。
あーもう、考えるのやめよ!
「悩みがあるなら何でも言って?」
立ち止まり、私の手を取ってじっと見つめる。
「ないから大丈夫だよ」
「ほんと? 羽音の悩みなら何でも聞くし、してほしいことがあったら何でもするよ?」
「大丈夫だってば」
全く、この人は大袈裟なんだから……。
でもそれは私のことを想ってくれてるから、だよね?