そんな穂乃のことを、俺は昔から憎めなかった。
見た目でよく柄悪そうに思われるけど、決して悪いヤツじゃない。
「それより昴、たまにはうちに来て顔見せてよね! お母さんも会いたがってるから!」
そう言って背中から抱きついてくる。
「あぁ、わかった」
「じゃあ、そろそろ帰るね! ばいばーい!」
穂乃はブンブン手を振って立ち去った。
ったく、嵐のようにやってきて去っていったな……。
「羽音、穂乃が失礼なことばっかり言ってごめんね?」
「だ、大丈夫! 全く気にしてないから!」
ニコニコと笑う羽音。
なんて優しいんだろうか。
「まさか、浪平さんと黒澤くんが仲良いなんて思わなかったよ」
「あぁ、保育園からずっと一緒で、家も隣同士だったから……」
「幼なじみってこと?」
「まあ、そんな感じかな」
昔からあんまり人と話すのが得意じゃなかった俺の唯一の幼なじみ。
穂乃は自分からどんどん話しかけてきてくれて……打ち解けることができたんだ。
「いいなぁー、私も異性の幼なじみとか憧れるなぁ」
「なんで?」
「だって幼なじみとの恋ってなんかステキじゃない?」
「いやいや、そんな少女漫画みたいな展開ないよ」
現実はそんなもんじゃない。
俺も穂乃も昔からお互いを異性として見ていない。
そりゃ、羽音が幼なじみだったら話は別だけど……。



