「頼むから、あんま煽んないで……」
「煽るって……どういうこと?」
「羽音が可愛すぎて、触ったりちゅーしたりしたくなるってこと」
「っ!?」
黒澤くんの言葉にボッとまた更に顔が熱を上げていく。
今の私の顔は間違いなく、真っ赤だ。
なんで、そういう恥ずかしいことを平気で言っちゃうのかなぁ……もうっ。
「羽音、顔真っ赤だよ」
「もー……黒澤くんのバカぁ……」
黒澤くんの胸を力なく叩く。
「よしよし、怒らないの」
まるで子どもをあやすように頭をポンポンしてくる。
「子ども扱いしてるでしょ……」
「まさか。俺は羽音のこと、一人の女の子としてしか見てないよ」
じっと見つめて、そんなこと言うなんてズルい……ズルすぎるよ……っ。
「も、もう少し恥ずかしがってよっ……」
「だって、本当のことだもん」
――キーンコーン。
「……って、本鈴鳴っちゃった! はやく教室帰らないと!」
「このまま、サボっちゃう?」
「ダメ! 留年したら困るもんっ」
留年したら冗談じゃ済まない。
また1年生やり直しなんて絶対ヤダ。
「じゃあ、ダッシュだね」
「え! ちょ、ちょっと!」
そう言って、黒澤くんは私の手を取って走り出した。



