「……してるよ、かなり」
「なにを?」
私が黒澤くんになにかガマン……させてる?
全く身に覚えがないけど……。
「羽音に……っいや、何でもない!」
「私……?」
私がなにか関係してるのかな?
「なにもないから! ほんとに!」
顔を真っ赤にして必死に否定する。
関係ないなら良いんだけど。
「俺にとって、羽音が世界で一番の宝物なんだ」
そう言ってまた優しく私を包み込む。
「……っもう。またそんなこと言って……」
熱くなった顔を手で隠す。
「羽音……さっき俺が図書室に入る前、俺の名前呼んでくれたよね」
……あ。
言われてみれば私、無意識に黒澤くんの名前を呼んで……。
助けてって思ったときに、頭の中に黒澤くんが浮かんできたんだ。
「そ、それは……」
「嬉しかった」
「あの……わ、忘れて」
ダメだ……尋常じゃないぐらいドキドキしてる。
心臓の音が黒澤くんに聞こえてしまいそう。
これじゃまるで私……黒澤くんが好きみたいじゃん。
いやいやいや。
そんなワケない。
ふと、黒澤くんの顔を見ると完璧に整った顔がニヤニヤしている。
「あぁ……もう、ほんと勘弁して」
「え?」
「俺を生殺しにしたいの? こんなにくっついてそんな顔されたら……俺……無理……」
生殺し? って……どういう意味?
頭の上にハテナマークがたくさん並ぶ。



